2023/03/23

『トライ&エラーとチャーミングさ』

 


おはようございます!


さて。


今日は『改善と指標と落とし穴』というテーマでお話ししたいと思います。
新人教育の話でもあり、僕たち一人一人の話でもあります。
たぶん、結構、大事な話です。


 
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僕がホテルレストランの開業に携わった時の話ですが、

もう建物は建っていて、内装も9割完成していたので、

あとはその空間とツールを使って「はい。じゃあコレでレストランをしてください。」と渡され、そこからコンセプト作りからメニュー構成、備品選定・発注、価格、モデルシフト、収支シュミレーション等などを進めていき、ようやく搬入も終わりレイアウトを固め料理のレシピも完成し、関係者を対象とした「試泊会」で初お披露目。


もちろん全ての料理に自信はありましたし、妥協は一切せず考え抜いた内容でしたが、いざ試食会で体験してみると、「…美味いけど、ちょっと味強いかな。」「もうちょっとほっとしたいな。」みたいな感想を持ちました。


一品一品のクオリティは仕上がっており、自信をもってオススメ出来ますが、「前日の夜お酒飲んで、朝目覚めた一発目の食事」という状況では、少し攻め過ぎたラインナップと味付けでした。

#優しさが欲しい


「朝食に関してみれば、『一塩抜く』という手間も必要なんだな。。」と勉強になりました。

#味キメればいいってもんじゃない



キッチンメンバーと共有し、反省会をしていましたが、お客さん(関係者)からは「よかったよ!」「美味しかったよ!」「さすがだね!」の声。


割と僕の事も知ってくれてる方も多く、今までに無い料理とラインナップ(#夜の宴会みたいな)を体験したお客さんからすると今までにない感覚で、「新鮮さ」が強かったのと思います。

あと、「阿部が作った」というのが乗っかって『応援』の意味も乗っかってたんだと思います。
#優しい


しかしながら、プロの世界では結果が全て。


「頑張ったか、どうか?」「新鮮かどうか?」など関係ありません。


リピートしてもらい通ってもらう事を前提とするなら尚更。


 
このまま進めると「うちはリゾートホテル」として生き残れないと思ったので、スタッフに「ごめん! レシピ変える!」と告げ、また新たに作り直し、覚えてもらいました。


それはもう必死こいて考え抜いた結果のレシピ達でしたので(#そこにはロジックもあった)思入れや愛着はありましたが、 


「誰にどの仕事を任せるか?」「どこに力を入れるべきか?」を決めるのは全てリーダーの仕事で、リーダーが「GO」を出した結果が表に出ている作品なので、その作品のクオリティーが合格ラインに届いてなければ、それはリーダーである僕の責任です。


その日の内に、全てのレシピを二番手と二人で整理して、「ならば、どうすればいいのか?」を話し合い、そこからジタバタとあがいて、今バチバチに作り上げたラインナップになってます。


 
僕の務めるホテルには、いつもいろんな個性を持った若手がやってきます。
#レストラン以外のアルバイトスタッフも含め


右も左もお箸の持ち方も分からない彼らは、とにかくズッコケまくるのですが、僕が「そっちじゃない」と彼らの首根っこを引っ張るのは、基本的には「死ぬ寸前」だけです。


接客なんかしないでずっと作業して、彼らが僕の指示通りに動けば、傷一つつけずにその日を乗り切り給料をもらうことは可能ですが、この世界は「怪我をしないと身に付かないこと」だらけ。


学校で学んできたことが1ミリも通用しないことを、


自分の考えが甘すぎたことを、


自分の考えのどの部分が、どの程度間違っていたことを教えてくれるのは、

「自分が判断をして動いた結果」なので、勤務中に発生する多くの『判断』は彼らに任せ、「あぁ、こりゃ、怪我をするなぁ」と思っても、怪我で済むのなら見過ごしています。

#お客さんに迷惑かかる案件は別

#お客さんを犠牲にしない



そんな時彼らには、「そもそもバカなんだから最初から上手くいくわけがないよ(すっごいパワハラ!)。キミ達に失敗があるとしたら『爆速で改善することを放棄すること』だ」と伝えています。


学校では「正解の導き方」を学びますが、ご覧のとおり現代では「正解」などありません。


集客を学んだ翌日に100年に一度のウイルスがやってくる時代です。


今、求められているのは「正解を導き出す力」ではなくて、「正解を作る力」で……トライ&エラーのスピードとチャーミングさこそが現代の剣となります。


これを持たずに戦場に出たら1000%死にます。

 

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▼ 改善の落とし穴
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「ならほど!とにかく、猛スピードで改善を繰り返したらいいのね!」と結論するのは、少しお待ちください。


改善には明確な「落とし穴」があり、そこに落ちてしまっては意味がありません。
僕らはその穴の場所を把握しておかなくちゃいけない。


プロジェクトを改善する際に、指標として持ち出されるのは「数字」です。


数字は事実なので、指標にするには分かりやす過ぎるんです。


「売り上げが落ちてるから頑張ろう」とか、「集客に成功した。やったぜ!」とか。


ただ、この時、「皆と同じ指標を使って、改善を繰り返したら、皆と同じ形になって、成功の価値を失う」ということを僕らは知っておかなければなりません。


イメージしやすいところでいうとYouTuberです。


YouTubeは「データ解析」までプレイヤーに提供してくれるので、再生回数やチャンネル登録者数の伸ばし方のヒントだらけ。


「なるほど。コラボをやれば伸びるんだ」
「なるほと。こういうサムネイルにすれば観てもらえるんだ」
「なるほど。こういう企画が今、ウケるんだ」
などなど。


それにより「数字」は伸びるのですが、皆が同じ指標を使用しているので、アプローチが画一化されます。


まもなく多くのYouTuberはアルゴリズムを追いすぎたシッペ返しを受けることになるでしょう。
「二年前は、これで、再生回数が稼げていたのに…」という。

#もう現に今、稼ぎにくくなっている


気がつけば自分はオンリーワンでは無くなっていて、無常にも、過ぎた時間は戻ってはきません。


そして、少しナナメ後ろを見ると、「まったく別の指標を元に活動を積み重ねてきた変な形のヤツ」がその存在感を増していて、一度追い抜かれると、もう手が届かない。


改善を爆速で繰り返すことはとっても大事です。


しかし、その時、忘れちゃいけないのが、「自分が使っている指標を、どれぐらいの人が使用しているか?」で、皆が使っているのであれば気をつけた方がいいと思います。

 

今日もありがとう!


じゃ


またね!


阿部

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