2023/03/07

『ハレ』と『ケ』のデザイン

 


おはようございます。

さて。
今日は『現代の「ハレ」と「ケ」、その度合いを整理する』というテーマでお話ししたいと思います。


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▼ 「祭」は集落の生存戦略
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先ず、祭(まつり)の重要性に関してですが、

人類史を遡ると、地球上のあらゆる地域で「祭」がおこなわれています。
現代のようにインターネットで世界が繋がっている時代じゃないので、“しめし合わせたわけでもないのに”各地で「祭」が起きています。


これは何も世界中にバランス良くパーティー野郎がいたわけではありません。


いろいろ調べてみると、「祭」というものが、“集落を残す為に必要な手段”だということが分かってきました。


理由は大きく2つ。


一つ目は『「ハレ(非日常)」を設けることで、「ケ(日常)」の苦しさを乗り切れる』というメンタル的な理由です。


「残業続きでシンドイけど、来週は合コンがあるから、そこまで頑張ろう!」といった。

年末の『忘年会』なんかも、それに該当します。


「ケ」しかない人生は、メンタルがやられちゃうそうです。


メンタルがやられると、もれなく体調を崩してしまうので、集落の労働力が落ちてしまう。
なので、「祭」が必要なんですね。


もう1つの理由は『子宝に恵まれないと集落が終わってしまうので、祭を設けて、男女を出会わせる』です。


子供は次の時代の労働力なので、そもそもの「恋仲になる」「カップルを増やす」ということが、集落にとっては非常に重要なんですね。


一説には、祭に「仮面」や「お面」が付いてくるのは、「立場を隠したい人が祭に参加できるように」という理由があるそう。
#なるほど


いずれにせよ、集落(コミュニティー)を存続させる為には「祭」というものが必要になってきます。


さて。
本題はここから。


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▼ 僕らの非日常はどこだ?
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何かとここ数年の間に『メタバース(仮想空間)』が当たり前になってきてます。


細田守監督が『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』で描いた世界観はとっくに始まっていて、いよいよ無視できないぐらいに盛り上がってまいりました。


しかし、まぁ、そんなものは今に始まったわけではなく、考えてみりゃ、とっくの昔から、僕らは『街を歩く時間』よりも、『ネット内を回遊する時間』の方が増えています。


今、この瞬間もそうですね。


何をもって「日常」と呼ぶのか、その定義は少しフニャフニャしていますが、「投下した時間が最も長いもの」を日常と呼ぶのならば、僕らの日常はネットの中にあります。


生身の「○○さん」を見ても、「○○さん」とは判断できないけれど、その方のプロフィール画像(アイコン)で「○○さんだ!」と判断できる人もいるのではないでしょうか。

#つたわる?


僕自身、「アバターしか知らない」という人は結構います。


『竜とそばかすの姫』のような世界が来るのは少し先だとしても、ジワジワとそこ世界に向かっていることは間違いありません。


乱暴に整理すると…


昔はこんな感じ↓

オフライン→日常
オフラインイベント→非日常


そんで、今はこんな感じ↓

オンライン→日常
オフライン→半日常
オフラインイベント→非日常


何が言いたいかというと、「オフラインイベントが、昔よりも日常から遠くなっている(ハレ感が増し増しになっている)」ということです。


これは、ここ最近解禁されつつある、『声だしライブ』の配信を観て確信したのですが、「生身の人間が(物理的にも好み的にも)同じ方向を向いている」ということ(ただそれだけ)の異常さは、昔に比べて格段に上がっていて、明らかにお客さんの興奮を感じました。


コロナもあり、今は特にオフラインイベント開催の難易度が上がっています。
実際に、オフラインイベントから撤退したチームもたくさんいます。


ただ、人類史を見ると「非日常の創造」こそが集落の生存戦略で、非日常の創造を放棄した集落は、かなりハードな運命を辿ります。


ネットの中に「日常」を移した(お引っ越しした)人々は今、安心安全に開催されるオフラインイベントを求めています。


安心安全に開催するには、それだけの費用がかかります。
ソーシャルディスタンスをとるとチケットの売上げは激減するので。


だけど、そこをなんとかしなくちゃいけない。


オンライン(仮想空間)の開発を進めながら、同時に、非日常(ハレの目)の開発をこれまで以上に丁寧にやる必要があるのかなぁと考えています。


別の言い方をすると、「オフラインイベントが設けられていないオンラインの街は弱い」です。



今日もありがとう!


じゃ


またね。


阿部




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